EOS10D日記その10

---ksmt.com---10D日誌---ご意見、ご感想などこちらまで---掲示板---メール---


2006年6月8日 Anticomar 7.5cm

Plaubel A.G. Frankfurt a.M. No 100367 Anticomar 1:2.8 f=7.5cm
きれいなRoll-OPはかなり高いので、以前から安くてきれいなAnticomarを探していたのですが、やっとヤフオクで見つけました。レンズ単体では人気がないらしく、開始価格で落札。セミ判Roll-OPについていたヘリコイド付きのレンズです。

かなり曇りがありますが、毎度のことですがヘリコイドのグリースに間違いありません。かなり苦労しましたが、最終的にはピカピカになりました。目立った傷もありません。


どうやってもシャッターからヘリコイドをとりはずすことが出来ません。落下を防ぐため特殊なネジが使われているようです。真ん中の写真はヘリコイドを縮めたところ。右は伸ばしたところ。左側のレバーに距離目盛があります。


ヘリコイドは精度が高くスムーズ。イモネジを2本はずせば簡単に外れます。ただし組み立ては結構面倒。イモネジの位置を予想して組み立てる必要があります。


ヘリコイドの中にあって、グリスで曇った後玉をはずして清掃したいのですが、ネジが固着しています。ヘリコイドが邪魔になってコンパスしか入らないのですが、コンパスではどうがんばってもはずれません。前の所有者もはずそうとして失敗した後があります。コンパスは先が尖っているため、あまり力を入れると危険。レンズや指に突き刺さると悲惨なことになります。


ここは技の見せ所。今回初めてマイナスのドライバーと金槌を使いました。これ以外に方法が思いつきません。遠慮してはいけません。思いっきりぶったたくと見事に回転したのでした。これは危なそうに見えますが、一番安全かもしれません。何しろ一発ですので。


後玉は洗剤で洗えば完全にグリスを落とせます。一方、ヘリコイドのオスネジはシャッターに張り付いたまま、どうやってもはずれません。フランジバックが短いので、アオルには何とか外したい所ですが、無理にレンチで回すと、シャッターが壊れてしまいました。幸いシャッターは簡単に直ったのですが、オスネジを取り外すのは断念。


このヘリコイドは39mmの中にも入らず、外にも貼れず、大変中途半端な太さです。わずかな接着面ですが瞬間接着剤が何とか利きました。この蛇腹をいっぱい縮めて無限遠が何とか出る状態。無限遠付近のアオリはほんのわずかしかできません。最近は無理にアオルことはしなくなったので、特に問題ないでしょう。


2006年6月7日 Dallmeyer STIGMATIC

JH Dallmeyer LONDON STIGMATIC F/6 F=7.6" No 100694
ウナーのところで出てきたアルディスのスチグマチック レンズです。いつものように”写真レンズの歴史” (ルドルフ・キングズレーク著、雄倉保行訳、朝日ソノラマ社)から引用。

”1895年に、ダルメヤー社の秘書であったヒュー・L. アルディス(Hugh L. Aldis)がツァイスのアナスチマットを復活させて新シリーズのレンズを作り、スチグマチック(Stigmatic)と名付けた。 (中略) シリーズIIのF6のスチグマチックの画角は約±30度で、この頃、アルディスは、三つの群のそれぞれを、個別に色消しにする必要はないと考え始めたようだ。”

7.6 inchとは妙な焦点距離(普通は1/4inch単位)。全群が15インチで後群が11インチで別々に使えるらしいです。合成すると中途半端な焦点距離になってしまうのでしょう。刻印のフォントもギザギザの妙なもの。いやが上にも期待が高まります。
。アルディスは1901年にダルメヤーをやめていますので、それよりは前に開発されたことは間違いありません。製造年は特定できないのですが、もしロスのシリアルナンバーがすべてのレンズで連続しているとすると、1909年以降に作られたDallmeyer 3D(ペッツバール改良型で私の持っているもの)より大きな番号ですので、1910年以降を考えられます。


2群と3群が張り合わせの3群5枚です。簡単に分解できて、清掃は簡単。


ネジは50mm。後で作られた立派な座金が付属しており、お買い得。マウントアダプタの製作は至って簡単かと思いきや、適当なチューブが見つからず苦戦。


座金の後ろに一枚厚いワッシャーをかませて、M42のチューブを接続。あまり美しい姿ではありませんが、これで立派に写ります。ガムテープはしっかり巻けば、少なくともレンズの落下は防げますので、瞬間接着剤と併用すると大変便利。


2006年6月6日 Biotar 2/58 (M42)

Carl Zeiss Jena Biotar 2/58 4231070
今まで35mm用のクラシックレンズは買ったことがなかったのですが、今月号の写真工業を読んでいたらBiotar 2/58が出ていて、5Dにマウントアダプタ経由で問題なく取り付けられると書いてありました。まともに撮影できると書いてあり、作例まで掲載されていたので安心して購入。あまりきれいなレンズではありませんが、実験的に安いものを購入。
 
 
10Dでは問題なく撮影可能。


ところが5Dでは見事にミラーと干渉するではありませんか。写真工業の記事のレンズのシリアルナンバーは3420426だったので、この後に変更があったようです。購入直後に判明したので、返品に行こうかとも思いましたが、良く見ると、レンズの後ろを0.1mmでも削れば問題は解消できそうです。先週のXenonの経験から、カメラからエラーが出ないということは、ほんのわずかな干渉であるということが分かっています。改造せよという天からのお告げが下り、返品中止。

 
迷わずヤスリでレンズの後ろを削る。2mmくらい削っても機能的にはなんら問題なさそうです。削りくずがレンズの中に入らないよう、ヤスリを下にして、大根おろしの要領でやれば問題ありません。反射防止のため、手近にあったマッキーで黒く塗りました。

 
CANON(AF)/M42マウントアダプタを中古で購入。1,800円ほど。お店のアドバイスに従って裏面をペーパーがけして黒く塗る。

 
マッキーで黒く塗られたマウントアダプタ。これで見事に問題解消。これはもう中古では売れないかなぁ。EOS 5D対応のBiotarと言えなくもないかも。


2006年6月5日 ROSS XPRES

ROSS LONDON PATENT 7 1/4 IN XPRES 1:4.5 No 154824です。後玉が3枚張り合わせです。後玉を見ると、明確に張り合わせ面からの反射が2箇所見えます。後玉をはずしてみると、Tessarに比べて以上に厚く、1cmくらいあります。いつものように”写真レンズの歴史” (ルドルフ・キングズレーク著、雄倉保行訳、朝日ソノラマ社)から引用させてもらうと、

”テッサーは非常に優れた設計であったため、多くの人がそれを利用しようとしたが特許の壁に阻まれた。最も簡単な抜け道は後群に張り合わせダブレットに替わるトリプレットを使う方法である。1913年、このような形として (中略) ロスのエクスプレス(Xpres) (中略) 等が発表された。”

後年、Tessarの特許が切れた後では、Xpresという名前でもテッサーと同じ構成のレンズになっています。明らかに後群が3枚張り合わせのXpressを前から探していたのですが、やっと手ごろな価格と焦点距離のものを見つけることができました。製造年は不明。

あっさりした刻印。


ネジの直径は53mmほど。座金がないので、ガムテープを巻いて太さの調整をした後です。


3群5枚です。後群のレンズがテッサーよりもかなり厚い。蛍光灯を反射されると弱い反射面が2個明確に現れ、トリプレットであることが簡単に分かります。


58mmフードの内側にぴったりはまるように、ガムテープを巻いて調整。こんな簡単なものでも、一度押し込むとはずれません。力を入れてはずせば、はずせます。

 
M42に変換してから蛇腹に装着。7 1/4 inchは18.5cmほどですので、このくらいの長さになります。


2006年6月4日 世界の中古カメラフェア

相模原のカメラ屋さんに行ったら、品物が全然ありません。渋谷の東急百貨店で開催されている”世界の中古カメラフェア”に出品しているとのことでしたので、渋谷まで行ってきました。土曜日のせいもあってなかなかの盛況でした。行ったことのないカメラ屋さんがずらりと並び、面白いものを見せてもらいました。特にニューマン&ガーディアー社(英)のニューイデアール シビルのシャッターが面白かったです。回転式のシャッターのため、あんな形になってるんですね。あまり買いそうにない客にも親切に説明して頂き感謝。買ったものは、後で報告します。

もうひとつ面白かったのは、店員さんに質問をしたときです。このダルメヤーのスチグマチックはアルディスの設計によるものかという後で考えると恥ずかしい質問です。運悪く店員さんはご存知なかったようなのですが、横で聞いていたお客さんから回答がありました。私がいつも見ている”写真レンズの歴史”という本のスチグマチックのページを開いて差し出して、F6なのでアルディスのシリーズIIですと。この後しばし客同士で情報交換。


2006年6月3日 Tessar 1:6.3

Carl Zeiss Jena Nr 103898 Tessar 1:6,3 F=148mm DRP 142294
1910年頃(明治43年頃)のTessar。 1908年が91711番で1912年が173418らしいので。Tessar 6.3のことをB テッサーというらしいのですが、私はよく知りません。3センチくらいの小さなレンズ。同じような焦点距離のUnarと描写と比較してみたくて購入。

レンズの前は塗装が剥がれていますが、まずまずきれいなレンズです。


長さ26mm, 直径38mmほど。ネジの直径は約34mm。


簡単に分解できます。清掃も至って簡単。


たまたまうまく合うメスネジがあったので、アダプタの製作は簡単。39mmに変換。


小さい割りに割りと焦点距離が長いので、アダプタも長めに。右はいつもの自家製蛇腹に取り付けたところ。これではフィルムバックが足りないので、エクステンションチューブで調整します。


2006年6月2日 Tele-Makinar

Plaubel Tele-Makinar 1:5.4 f=21cm No 113511 です。古典的な2群4枚の望遠レンズで特に変わったところはないと思いますが、Makinarという名前に引かれて購入。古いTele何とかというレンズは皆同じようなものだとは聞いていますが、どんな写りをするのか確かめてみたいと思います。http://www.camerapedia.org/wiki/Makina を見ると、Makina I (1920)とMakina II(1933)に付くようです。Makina IIS(1936)コンパーシャッター付きの19cmに変わるようですので、年代としては1920-1936(大正9年から昭和11年)と考えられます。思ったより古いですね。

正面から見ると刻印がきれいです。


単純な2群4枚構成。レンズは簡単に手ではずせます。清掃も至って簡単。絞り羽根はやたらと多い。レンズはきれいです。


ちょうど合う座金がなかったので、M42のチューブを瞬間接着剤で貼り付けました。これでマウント変換完成。所要時間1分。


蛇腹に取り付けたところ。Teleというだけあって、フィルムバックは12〜3センチというところでしょうか。


2006年5月27日 Unar 145mm

Carl Zeiss Jena No 63822 Unar 1:4,7 F=145mm D.R.P. 134408 というレンズをヤフオクで購入。これは相当古そうです。推定1904年(明治37年)。1900年が44,000番で1908年が91711番だそうですのでその中間をとって1904年と推定しました。ツアイスのウナーは1899年にルドルフがプロターの張り合わせ面と薄い空気間隔に置き換えて製作した4群4枚のレンズです。ダルメヤーのアルディスがスチグマチックの球面収差を補正するため薄い空気間隔を採用したことに影響を受けたようです。その後ルドルフはプロターの後群の張り合わせ面にも多くの利点があることに気付き、ウナーの前群とプロターの後群を組み合わせて、テッサーを1902年に完成させました。(写真レンズの歴史 ルドルフ・キングズレーク著、雄倉保行訳、朝日ソノラマ社を参照)。 実際にレンズを触ってみると、前群はテッサーと区別がつかないですね。

購入時にはレンズが曇っていましたが、分解清掃後はきれいになりました。絞りはF値ではなく、絞りの直径をmmで書いてあります。28mm(F5相当)から3mm(F48相当)まで。一番外の輪はヘリコイドで、距離がmeter単位で書かれています。


後群を分解するのに一苦労。ネジが固着しているので、尋常な力では開けられない。プラスチックのヘッドのプライヤーでは歯が立たず、結局万力と金属のプライヤーで強引に回して開けた。3枚目のレンズの枠に多少キズがつくのはやむをえない。4群4枚なので張り合わせ面は全くない。清掃は簡単。ちょっと拭くだけで、ピカピカになりました。


レンズの開口部の直径は31mmくらい。


木製で表が革張り、裏がフェルト張りのレンズキャップが付属しています。これはなかなか便利だし、デザイン的にユニーク。


ヘリコイドがついています。動きは大変スムーズ。左が無限大。右が最短距離2m。

 
座金は付属していません。ネジの直径は約51mm。

 
Travenarの三脚座にぴったり入ったので、その後ろに適当な筒と39mmオスを貼り付けて、初の三脚座付きレンズの完成。ファインダーをのぞいた感じでは、テッサーに良く似ているようです。


2006年5月26日 結婚式の撮影

少し前に甥の結婚式があり、撮影をしました。ここ15年ほど結婚式の撮影をしていないので、さてどんなレンズを持っていけばいいのか考えたのですが、良く分からない。カメラは5Dなので、広角側は17-40F4で問題ない。問題は望遠です。70-200F2.8ISがあれば解決なのですが、残念ながら高くて買う気になれない。70-200F4ズームは持っているのですが、手ブレしそう。結局明るい単焦点がいいだろうと思い、前から欲しかったEF85mmF1.8を購入。300F4 ISは結構重いので持っていくかどうか悩むところですが、使い慣れたレンズですので結局持っていくことに。ということで、次のようなレンズ構成になりました。

EF17-40F4 (記念写真的なものは、これ一本あれば十分でしょう)
EF50F1.8 (結局あまり使わなかった)
EF85F1.8 (予想通り大変使いやすい焦点距離。5Dはトリミングがきくので便利)
EF300F4IS (アップの撮影に便利。カメラを意識させない自然な表情が撮れる)

明るい短焦点がいいと思ったのですが、結局F2.8かF4.0でISO 400くらいにしてストロボを直射するのが一番いいようです。これだとAFでピントがはずれることもないし、ストロボのチャージ時間はほぼゼロだし、ストロボの電池はほとんど消耗しないし。多少影が出ますが、顔さえちゃんと写っていれば、だれも他の事は気にしないようです。プロの写真屋さんも撮影しておられたので聞いてみたのですが、やはりストロボ直射しかないようです。披露宴会場ではバウンスとかディフーズとかあまり考えなくてもいいようです。

そのときの写真が結婚相談所のホームページに掲載されています。
http://sakura-kan.com/


2006年5月20日 プラナーは他にもある

”クラシックカメラ博物館”(安藤嘉信著、日本カメラ社)を見ていたら、カーマ フレックス66という二眼レフのところに次のような記載がありました。私の持っている偽プラナー http://www.ksmt.com/eos10d/classic2.htm#37 以外にも、ツアイスと無関係のプラナーがあることが分かりました。

同著によりますと、
”カーマ フレックス66(独) 1935年(昭和10年)頃 アーノルド・カール 6x6センチ 120フィルム レンズ/プラナー F3.5 7.5cm (中略) プラナーと称する3枚玉付きで、同名のツアイス製とは関係ない。本機のメーカーについては謎が多く、(以下略)”


2006年5月14日 サンフランシスコの日本人町

サンフランシスコの日本人町に行く前にちょっと調べたら、こんな記事がありました。どちらもあまり景気の良い話ではないようです。
http://likeachild94568.hp.infoseek.co.jp/japantown.html
http://www.cotton-tree.com/garyu/archives/2006/02/post_185.html
はじめて行ったのですが、やはりちょっとさびれた感じで、撮影するようなものは特にありませんでした。ロサンゼルスとサンノゼの日本人町には何度か食事に行ったことがありますので、アメリカに3つしかない日本人町に全部行ったことになるようなのですが、どれもこんなもんかなぁという感じです。ロサンゼルスとサンフランシスコの日本人町はよく似ていて、よく整備されたショッピングモールです。サンノゼは適当に日本の店が固まってあるだけです。今ではカリフォルニアには至るところに日本食レストランがあるので、わざわざ遠くの日本人町まで出かける必要がないような気がします。

日本人町の周辺は2時間まで路上駐車が許されているのですが、活気がない割には、駐車するところがまったくありません。ぐるぐる探し回った後で、結局ジャパンセンターの有料駐車場に入れました。5時間で6ドルほどですので、そんなに高くありません。日本人町の撮影は早々にあきらめて、海まで散歩しながら、ちょっとだけスナップしてみました。
http://www.ksmt.com/panorama/060514sanfran/060514sanfran.htm


2006年5月12日 5x7 inchのデジカメ案

5x7 inch (12.7 x 17.8cm)をカバーする巨大なイメージサークルを持つレンズを持っているのですが、EOS 5D (3.58 x 2.39cm)でしか使っていないのでもったいないし、レンズのごく中心部分の評価しかできていません。面積的には1/26程度しか使っていないことになります。そこで、5x7 inchのカメラにEOS 5Dを取り付けて36枚程度撮影し、パノラマ合成ができないかと思ったわけですピリカワッカさんとれんずまにあさんにうまく乗せられたような気もします。製作にはかなり時間がかかりそうですが、まずは、机上で検討してみました。

まず考えつくのは市販の大判<->EOSアダプタボードを買うことです。一瞬行けるかなと思ったのですが、大判カメラで左右に15cmもシフトできるものは見つかりません。仮にできたとしても三脚がひっくり返ってしまいそうです。大型のビューカメラでもリヤの左右のシフトは3.5cmくらいのようです。これですと、3x3の9枚で6x9cmくらいが限界のようです。リヤのライズとフォールはもっと大きくできるカメラもありますので、縦長であれば12x9cmくらいまでいけるかもしれません。でもやっぱりどうしても5x7 inchがやりたい。


そこで思いついたのが案1です。EOSマウントの穴を四つ開けます。合成用に少し画像を重ねるとして、ほぼ5x7 inchをカバーできそうです。一個目の穴にカメラを装着してビューカメラのリヤのシフトを駆使して9枚撮影し、カメラを一旦はずす。はずした穴をキャップで塞ぐ。次の穴でまた9枚撮影する。これを4回やればいいわけです。とても面倒くさいですが、出来ない話ではないと思われます。相当しっかりした三脚を使って36枚撮影する間カメラが決して動かないようにするのは難しいかもしれません。それに、端のほうでは光がずいぶん斜めに入ってくるので、ミラーボックスにケラレてしまいそうです。(これはれんずまにあさんからの指摘。リヤが左右にシフトできるのはビューカメラしかなく、大変重くてかさばるので、機動性は低いです。


ここで大きな問題が見つかりました。単にボードに穴をあけてEOSマウントを取り付けただけでは、図2のようにカメラのグリップがボードにぶつかってしまい、カメラを取り付けることができません。単なる筒をつけてカメラを後ろに下げると、筒にケラレて、端の方が撮影できそうにありません。やはり図3のような形の穴にしなければなりません。市販のボードはこのようになっています。しかし、これはボード加工時に高い精度が要求されます。4つの穴が完全に同じ平面上になければなりません。


次に思いついたのが案2です。カメラが同じ平面上を自由に移動できるよう、X方向とY方向にレールを設置します。これだとリアのシフトが必要ないのでフィールドカメラ又は木製の暗箱でも大丈夫です。案1のようにカメラをつけたりはずしたりする必要もありません。レールは接写用のベローズのものを流用できそうな気がします。しかしながら、加工精度が案1よりさらに高くないとダメでしょう。しっかりしたものをつくると、案1より重くなってしまうかもしれません。またカメラが移動しても完全に遮光できる袋蛇腹のようなものが必要になります。いずれにしても大変難しい工作になることは間違いありません。こんなのが市販されているとうれしのですが、高くて買えないかもしれません。


案1と案2の折衷案として図5の案3が考えられます。Y方向の動きはビューカメラにまかせて、X方向だけレールを設置する案です。1軸であれば日曜大工でもある程度精度が出せると思います。ビューカメラの選択肢も結構ありそうです。また、リヤが左右にシフトできるカメラであれば4x5 inchのカメラで5x7インチの写真が取れるかもしれません。カメラが左右一杯に寄るようにしておけば、シフトを併用することができます。4x5 inchのビューカメラであれば値段も安いし、重量も大幅に軽くなりそうです。持ち運びも楽です。今のところこれを第一候補にしておきます。


2006年5月9日 日曜大工道具

最近私が使っている日曜大工道具です。今日はライカのボディーキャップに穴を開けて、39mmオス部品を製作しました。私の袋蛇腹では、小さいレンズ用のマウントアダプタ製作の為に、これが大量に必要になります。逆にこれさえあれば、後は接着剤でくっつけるだけですので、ほとんど終わったようなものです。作業場とか作業机とかはないので、居間の床でやっています。そんな方も多いと思いますので、参考になれば幸いです。

下に敷いてあるのは500円で買ってきた人工大理石です。表はつるつる、裏はつや消しです。つや消しの面はいつもレンズの撮影のバックに使っています。工具は左から、

1. ピラニア糸鋸 アルミや真鍮の板を自由な形に切り抜けます。とても良く切れます。刃の端の引っ掛け金具が大きいので、長さ12mmほどの大きな下穴を開けないといけないのが唯一の難点です。

2. スイベルバイス 吸盤で吸いつきますので、どこでも使えます。人工大理石のつるつるの面に吸い付けると、とても便利。ボールヘッドでヘッドの角度を自由に変えられます。ゴムのカバーが付属していて、レンズなどを傷つけずに挟むこともできます。新聞紙の上に人工大理石と万力を置いて作業し、削りくずは新聞紙を丸めて不燃ごみに捨てれば終わりというのが便利です。

3. やすり各種 半丸(片面が丸で片面が平ら)が特に便利。小さなダイヤモンドやすりも便利。100円ショップのものでも十分です。

4. ドリル ちょっとパワーがありすぎてうるさいが、作業は短時間で終わります。静かで小さいドライバードリルもあるのですが、こちらは非力すぎ。


2006年5月8日 MAMIYA-SEKOR 150mm

もう一本マミヤです。マミヤプレス用の150mmです。このレンズも中古で一万円強ですが、全く新品と言って差し支えありません。多分数回しか使われただけではないでしょうか。

100mm F3.5, 127mm F4.7 とそっくりです。口径がほぼ同じですので長くなるほど暗くなるという口径比そのものです。


レンズは前の部分だけで、他はがらんどうのヘリコイドチューブです。先にネジをはずしてしまってから撮影したので、レンズがまっすぐ付いていませんが、本当はもちろんまっすぐです。


長いコンパスでネジを回すと、簡単にレンズが外れます。ケガキ用の長いコンパスでないと届きません。ストロボの電線を切らなければならないのですが、新品同様なので気が引けます。


エイヤと切断しました。ヘリコイドは巨大ですが良く出来ているので、後日別のレンズで使おうと思います。


テッサータイプですので後玉が小さく、自作のSEIKO 0番 <--> 39mmアダプタを介して簡単に取り付けられます。


2006年5月7日 MAMIYA-SEKOR 55mm

マミヤから今年9月1日を目処に光学機器事業を譲渡するとの発表がありました。Mamiya ZDを出したばかりなのに残念ですね。( http://www.mamiya-op.co.jp/home/camera/news/news20060421.html ) マミヤのカメラは持っていませんが、マミヤのレンズにはずいぶんお世話になっていますので、買い足すことにしました。中古なのでマミヤの業績に貢献できませんが、いいレンズがやたらと安いので助かります。まずはMaimya 645用の55mmです。古典的な55mmレンズですとフランジバックが足りず自作のマウントアダプタは難しいのですが、ちょっとレトロフォーカスになっているのでフランジバックが長く助かります。Mamiya 645のフランジバックは63mmですので、EOSの44mmとは19mm違います。これだけ余裕があれば、袋蛇腹で十分アオレます。それにこのレンズは全群繰り出し式なので、何となく安心です。

なかなかきれいです。どこも悪いところありません。これで一万円は安いのではないかと思います。


中判のレンズは重いものが多いのですが、これはわずか300gほどで軽いです。645だと広角レンズですが、35mmで使うともちろん標準レンズです。


このレバーをMにセットするとカメラと無関係に絞れますので助かります。この機能がないと、袋蛇腹では開放でしか撮影できなくなります。


19mmのフランジバック差でアオれるようにするには、袋蛇腹とマウントで合計10mm程度に仕上げる必要があります。ライカの39mmのボディーキャップに穴を開けたものを直接レンズの貼り付けると、わずか2mmほどのマウントアダプタになります。
後玉は割と小さいので、ボディーキャップの穴には干渉しません。


袋蛇腹に取り付けたところ。合計でちょうど10mmほどの厚さですので、結構ティルト・スイングしても大丈夫です。イメージサークルも十分広いです。これでTS-E 45mmの代わりをさせようという魂胆です。


2006年5月6日 SIX-20 BROWNIE 約90mm 約F11/19

連休特別企画:SIX-20 BROWNIEのレンズを無理やり使う。ブローニーフィルムの名前の由来であるコダックのブローニーカメラです。箱型なので、一体どうやってデジタル一眼レフにつければよいのか不明ですが、連休で時間はありますので、挑戦することに。この手のカメラは単玉が多いのですが、これはどういうわけかメニスカス2枚です。5 TO 10 FEET (1.5m - 3m)の近景を撮影するときだけ前玉を横にずらして、単玉にするようです。

レンズはきれいで、シャッターも完璧なのですが、外観が悪いのと、620フィルムなので売れないらしく、たった3000円でした。これを何とか5Dで使おうと思います。


皮の取っ手にカメラの名前が書いてあります。カメラ名というより620ブローニーですので、フィルム名ですね。今のレンズ付きフィルムのようなものだったのでしょう。


なかなかモダンな外観。ファインダーの窓がふたつあるのは、縦位置用と横位置用です。


普段はバネでBEYOND 10 FEETの方になっています。近くを写すときだけ指で5 TO 10 FEETの方にレバーを押すと、前玉が横にどいてくれます。押すのを止めると、元に戻ります。クローズアップレンズの逆ですね。ただ、一眼レフに取り付けて試してみても、効果がはっきり分かりません。


フィルムを巻くノブと引いて、さらに上のノブを引くと、カバーがはずれます。このカバーはボール紙製です。中身はブリキ板です。


蛇腹に相当する部分もボール紙製です。ボール紙の上に薄い皮が張ってあります。レンズボードは木製です。


前の化粧版をはずしたところ。ビス4本で固定されています。ファインダーは木のレンズボードを斜めに削って、接着剤で鏡を貼り付けてあります。


レバーが3つあります。上のレバーは絞りで、押すとF11, 引くとF19くらいです。勘でF11/F22と書いた後で、実測したところ、F11/F19くらいでした。真ん中のレバーはシャッタースピードです。引くとタイム、押すと多分1/40秒くらいです。1/40秒は測ったわけではないので、勘ですが。下のレバーがシャッターです。下げる時にも上げる時にも両方シャッターが切れます。シャッターチャージも兼ねます。

 
TimeとInstの違い。Tmieの時にはシャッター板を爪でひっかけて、シャッターが開いた状態で止まるようになっています。Instの時は、シャッターが穴を通り過ぎますので、すぐ閉まります。絞りレバーを引いた状態ですので、穴が小さいのがわかります。


木製のレンズボードはブリキのシャーシに釘で打ちつけてあります。少し釘を抜いてみたのですが、うまく分解できそうにないので、元に戻しました。その代わり。本体、レンズ、シャッターが一体になっているので、うまく分離できません。そこで思いついたのが、ブリキをハサミで切ってしまう方法です。0.5mmほどの薄いブリキ板ですので、ハサミで簡単に切れます。刃先が薄くてカーブしたものが使いやすいです。ハサミがなければ、カナノコで切ることもできます。

 
切り取ったところ。ブリキの切断面は鋭利なので、やすりで丸くしましょう。レンズは木の穴にはめ込んであるだけです。最後に39mmのスクリューをゴム系の接着剤で貼り付けて完成。39mmのオスはライカのボディーキャップに穴を開けたものです。


蛇腹に取り付けたところ。相当ユニークな形ですが、実用上は問題ありません。


2006年5月5日 HERMAGIS ANASTIGMAT 210mm

HERMAGIS Opticien Fabricant Bxx S.G.D.G Paris ANASTIGMAT 1:4.5 F=210m/m No 59182 です。Bxxのところのxxは小さな文字なので読めません。エルマジーのレンズを持っていなかったのと、安かったので、ヤフオクで購入。210mm F4.5なのでテッサータイプかと思って買ったのですが、開けてみると4群6枚のプラナーと同じダブルガウスタイプでした。期待が持てます。

刻印はキズだらけですが、はっきり読めます。


写真では小さく見えますが、結構大きなレンズです。HEXAR 21cmやHEXANON 210mmとほぼ同じ大きさ。


対称型で、両方の中玉には張り合わせ面が見えます。前玉に細かなスリキズがある以外は、一見きれいな玉です。


ただ、よく見ると、レンズそのものの品質はあまり良いとはいえません。1群と4群レンズに黒いゴミと小さな気泡は数多く入っています。2群と3群がきれいなのとは対照的です。古いのドイツのレンズにはガラス工場名前が刻印されていますが、ガラス工場自体がブランドだったんでしょうね。


2006年5月4日 HEXANON GRII 210mm

KONICA HEXANON GRII 21cm F9 LENS MADE IN JAPAN 229494 ヤフオクで”コニカミノルタカメラ事業撤退の記念にいかが”と書いてあり、不思議と説得力があったので購入。これは安かったです。どうやら製版用のレンズのようですが、詳しいことは分かりません。何となく歪曲がなさそうな感じは外観からも伝わってきます。

ただ残念ながら前玉の裏が曇っています。何とか前玉をはずそうと試みましたが、どうしても外れません。仮にはずれたとしても、ものすごいレンズの枚数のようですので、うまく曇っている面が清掃できるとも限りません。あきらめて曇ったまま使うことに。逆光でなければ、そんなに影響ないと思われます。


絞り指標とレンズ名が書かれた輪はイモネジを取れば外れるのですが、それ以上は分解できません。


これもフードをセロテープと瞬間接着剤でマウント作成。ジャンクのフードさえあれば、作業はとても簡単です。


チューブの全容。レンズの主点が結構前にあるようで、これだとチューブが少し長すぎて、無限遠の先がわずかしかありません。したがって遠景ではあまりチルトとスイングができません。そのかわり接写には至って強い。試写してみると、予想通り遠景ではレンズ曇りの影響からかあまりパッしない描写ですが、接写では見事な描写です。


2006年5月3日 Hexar Ser.1 21cm

Rokuoh-sha Tokyo No 34701 Hexar Ser.1 1:4.5 f=21cm です。シリーズ1というのに惹かれてヤフオクで購入。テッサー型のレンズです。小西六関係の資料が完璧にせいりされている寺崎さんのページ六櫻社のレンズのページを見ると、”毛利広雄はレンズの研究の結果、、テッサータイプとしてヘキサーを設計製作したが、1931(昭和6年)6月 ヘキサーT F4.5が昭和6年6月に完成し、トロピカルリリーに装される(11.5cm名刺判 13.5cm手札判)。”と書いてありますので、昭和6年(1931年)頃のものだと思われます。

なかなかコンディションはいいです。


テッサー、クセナーなどと全く同じ構造です。


簡単に全部バラバラにできます。ネジの面はきれいな真鍮の色をしています。


中玉にはケガキでシリアルナンバーが書いてあります。


フードとセロテープと瞬間接着剤で作ったマウント。M42に変換。


2006年5月2日 GRAFLEX OPTAR 135mm

GRAFLEX OPTAR f/4.7 No 780994 135MM です。WOLLENSACKからのOEMでしょうか。X接点の形が古めかしいですね。

きれいなレンズです。あまり使われていないようです。


ネジはSEIKO-0番と39mmの間で、クリューゲナーのアプラナットのアダプタが流用できます。


2006年5月1日 KODAK BIMAT 約100mm F11 -> F6.8 改造

KODAK BIMATは昔の安いスプリングカメラ(Kodak Senior SIX-20など)についているレンズです。メニスカス2枚玉の前玉を2枚に分け(合計3群3枚)、その間に平行平面の空気間隔を入れ焦点調節を可能にした変形ペリスコープです。前玉を回転してピントを合わせます。開放F11と暗いのは、絞りと開けると収差が大きいためです。

ぺリスコープの絞りを開けて使うと美しいソフトレンズになります。ICA Periscop Alphaも普及型のレンズですが、絞りを開けるとうまく光がにじみます。ところが、類似のペリスコープレンズを探すのが難しい。そこで変形ペリスコープだが、たまたま中古屋で見つけたコダックのBIMATで試そうと思ったわけです。KODAK TWINDARも同じ構成のレンズです。いつものように”写真レンズの歴史”(ルドルフ・キングズレーク 著、雄倉保行訳)にBIMAT/TWINDARのことが書いてあったのを見つけたのがきっかけです。

KODAK BIMATの簡単改造:

KODAK KODEXシャッターに入っています。F11以上は絞りを開けられないようにストッパーがついています。


これをこの辺まで移動すれば改造完了。KODEXシャッター自体はF3.5くらいまで開けられるはずなのですが、F6.8以上開けても絞りがレンズより大きくなってしまいますので意味がありません。F6.8あたりが限界のようです。試写してみると実際にはF8.0くらいのようです。


まず、前玉とレンズ全面の板をはずします。ビス4本で簡単にはずれます。絞りのストッパーは単なるわっかです。これをビスで挟み込んであるだけです。自由に動きます。後で気付いたのですが、ビスを完全に抜かないでもちょっと緩めるだけでストッパーを移動できます。


ストッパーをちょっと回転して作業終了。ビス4本を締めなおします。


これがF6.8くらいの画像。期待通りのソフト具合になっています。

BIMATレンズおよびこのレンズがついていたKODAK SENIOR SIX-20の説明:

あまり使われておらず、新品同様です。1937(昭和12年)-1939年製造。前玉回転式ピント合わせ。左下に伸びるのはシャッターボタンへのリンクです。


3群3枚です。一枚目の裏と2枚目の表は平板で、くっつけると一枚のメニスカスレンズになります。


ネジはKODAK ANASTIGMAT 130mmのものと同じでアダプタを流用できました。


黒の塗装とメッキの銀色が美しいカメラです。普及品らしく操作が至って簡単なスプリングカメラ。Kodak Anastigmat f:4.5 103mmなどの他のレンズがついたモデルもあるようです。1937年の定価30ドル也。


カナダのトロントで作られました。


立派な皮のケースに入っていました。ちょっとサイズが大きすぎるので、純正ケースではないようです。



あっさりしたデザイン。

620フィルム用です。SIX-20とは620フィルムと同じ意味ですね。SIX-16は616フィルム用です。中から見ると蛇腹の張り合わせがいいかげんで、普及品らしいつくりです。しかし、素人が使うにはこれで十分で、シンプルなので耐久性もそこそこありそうです。


2006年4月30日 鯨は真水を飲まない

鹿のフンの質問のついでに”鯨は真水を飲まない”でも死なないのは何故かという質問をえすぱさんから多賀町立博物館・多賀の自然と文化の館で学芸員をされている阿部さんに聞いて頂いたところ以下の回答を頂きましたので掲載させて頂きます。以前mwさんに聞いたところ、mwさんの美人の娘さんから回答があり、”らくだと同じように脂肪を分解して体内で真水を作っている”というところまでは知っていました。その先の話です。鯨は体内で脂肪から真水を作る能力を獲得したかわりに、腸から真水を吸収する能力を失っていたのですね。

阿部さんのメール
・・・前略・・・

さて、クジラが水を飲むのか否か、私もよく知りませんでした。でも興味があったのでいろいろ検索してみたところ、以下のサイトにあたりました。

鯨ポータルサイト http://www.e-kujira.or.jp/kodomo/kotae11.html 

このサイトには、クジラが水を飲まなくても平気な訳や、いろいろな「クジラ・トリ ビア」が紹介されていて、ボーっと見ているだけでもけっこう楽しいです。

それと、川に迷い込んだ小型クジラが脱水症状で死んだニュースもみつけました。

http://amor1029.exblog.jp/i53

真水が大量にあるはずの川に迷い込んで脱水症状で死ぬというのもなんとも皮肉な感 じがします。 まあ、餌の脂肪を分解して水分を得ている証拠でもあるのかもしれませんが・・。

・・・後略・・・


2006年4月29日 鹿のフン 続編

去年の9月に奈良公園で鹿の脱糞写真を掲載したのですが(http://www.ksmt.com/eos10d/eos_nikki_body4.htm#050908)、これを見た飛騨高山CubicVR”えすぱ”さんからメールがありました。えすぱさんの知り合いに多賀町立博物館・多賀の自然と文化の館で学芸員をされている阿部さんという方がおられます。阿部さんは鹿の専門家です。大変面白い話だったので、阿部さんとえすぱさんに掲載の許可を頂きました。

えすぱさんの質問に対する阿部さんからの回答メール:
・・・前略・・・

さて、話しの核心ですが、シカをはじめとする全ての哺乳類の中に肛門が複数ある動物はおりません。もちろん、“レンコン輪切り”なんて言語道断です。

確かに、写真のうちの一枚は一見すると“レンコン輪切り状の肛門”と穴(真ん中ではなく周囲の穴)から搾り出されている黒豆に見えますが、そう見えているだけで実際はそうではありません。実は、私も黒豆はどのようにして黒豆となるのかが気になって調べてみた事があります。もちろん、シカの遺体を実際に解剖してみました。すると、小腸(空腸や回腸)通過時はまだわりと水分を含んでいてどろどろしているのですが、円盤結腸、S状結腸にさしかかると、すでにころころとした黒豆になっていたのです(水分を吸収して硬くなったのでしょう)。体調や食べた植物によっても変わるようですが、肛門の出口よりはるか手前ですでに一人前の黒豆に仕上げられているのは間違いありません。

“レンコン輪切り状の肛門”については、肛門の内側から直腸の出口側にかけて、肛門の内側には肛門ヒダと呼ばれるヒダが発達していて、その周りを括約筋が取り巻いています。たいていの哺乳類はフンを排泄する際に肛門を外側に反転させるのでヒダがあらわになります。こうすることによって、肛門の外側は常に清潔に保たれるので、トイレットペーパーは必要ないのです。あの写真は、シカがちょうど肛門を反転させているところで、レンコンのように見えているのはヒダそのものとヒダ〜ヒダに挟まれている黒豆ということになります。

ちなみに、痔の症状にはジロウというのがあり、細菌によって化膿して肛門の外部周辺と肛門の内側深部とをつなぐ細い管が形成されるそうなので、肛門が複数ある状態と言う事もできるかもしれません(けっこう辛いらしいです)。また、反対に尿道口と肛門とが分かれていない(鳥類や爬虫類のようです)単孔類という哺乳類もいます。ハリモグラやカモノハシがこの仲間で、卵を生む原始的な哺乳類としてもよく知られています。

・・・後略・・・


2006年4月28日 Schneidar Radionar 1:4,5/105

ラジオナーが前から欲しかったのですが、ものすごく安いものはかなかか見つからず、のびのびになっていました。やっときれいでそこそこ安いものが見つかったので購入。5250円也。ラジオナーはシュナーダーの3枚玉です。普及機のスプリングカメラによく使われています。1952年製造。

カメラ自体はほとんどつかわれた形跡がなく大変きれいなものなのですが、レンズが真っ白に曇っているのでジャンク扱いとのこと。見せてもらったところ、これはレンズの曇りではなく、グリースがまわっているだけですので、多分清掃すればピカピカになると思い購入。


簡単には中玉がはずせない構造。前玉をはずしてみると、予想通り大量のグリースが付着しており、清掃に一苦労。前玉と後玉は洗剤で洗浄すれば見事にピカピカになったのですが、中玉ははずせないので、グリースが取り切れません。前後の玉ですので、ひょっとしたら中玉のコーティングが痛んでいるのかもしれません。完全にピカピカにはなりませんでしたが、写真を撮るには全く問題ない程度には回復しました。前玉回転式のレンズはこれと同じようにグリスが付着しているだけでジャンク扱いになるケースが多いので、非常に助かります。その辺の本にも、レンズが曇っているカメラを買うのは止めましょうと書いてあるので、売れないんですね。心配な方は、戦前のコーティングも張り合わせもない3枚玉で前玉回転式のひどく曇ったレンズを安く買いましょう。清掃すれば、ほぼ間違いなくピカピカになります。清掃のコツは、とにかく洗剤でグリースを落とすこと。水洗いしてしっかり乾燥させるのがベストです。


カメラはFranka Bonafix



皮の取っ手を使った形跡はありません。


Made in Germany US-Zoneと書かれています。西ドイツ建国前ですね。


2006年4月27日 Plaubel Orthar 13.5cm

Rap.-Weitw.-Orthar 1:6.8 f=13.5cm Plaubel & Co Frankfurt a.M. No 70829
ヤフオクで購入。Ortharが欲しい人はあまりいないらしく私だけの入札でした。プラウベルを一本も持っていなかったのと、メニスカス4枚玉が好きなことと、中古屋さんで見ないことが買った理由です。



ILEX No.3 シャッターに入っています。レンズの割りにシャッターが大きいので見た目のバランスが悪いですが、使用上は問題なし。
この写真は清掃前です。清掃後シャッターはかなりきれいになりました。このシャッターは一応動いていますが、タイムに時にコツがいります。ゆっくりシャッターを開けるとタイムでもすぐ閉じてしまいます。バチンと強くシャッターを開けると、タイムがひっかかります。アメリカ製らしいデザインですね。


マウントのネジは48mmほどで、座金がないため、シャッターに39mmスクリューを瞬間接着剤で直付けしました。瞬間接着剤は金槌でたたけば簡単に取れますので、シャッターが痛むということはありません。


自家製の蛇腹に取り付けたところ。


2006年4月26日 Wide-Angle-Aristostigmat 7 inches

Wide-Angle-Aristostigmat 1:9 Foc. 7 inches Hugo Meyer & Co - Gorlitz Nr. 376104
以前同じアリストスチグマートの12cmを買って気に入ったので、焦点距離の違うものを探していたのですが、やっと見つかりました。前買ったのと同じ店の同じところに置いてありましたので、見つけたというほどでもありませんが。前の個体よりシリアルナンバーが12万番ほど古いです。メニスカス4枚玉です。Hogo Meyerの年表は持っていないし、Webでは何も見つからないし(Googleでは私のページしか出てこない)、いったい何年に製造されたのか、どんなカメラについていたのかは分かりません。本に1910年(明治43年)販売開始とか、1930年(昭和5年)くらいまでカタログに載っていたものもあると書いてあるので、その間であることは間違いないのですが。

レンズはピカピカなのに、値段が非常に安かったので不思議だったのですが、家に帰って理由が分かりました。座金のネジが固着していて、どうしてもはずれないのでした。分解好きの私の楽しみが増えたのでした。


レンズは非常に小さいものです。12cmよりはひとまわり大きいですが。


鏡胴にもシリアルナンバーが刻印されています。


後玉にもシリアルナンバーが。修理のとき間違える心配がないようにとの配慮だと思います。丁寧な作りです。問題は座金がさびついていることです。いつものように万力と大型のプライヤーで力いっぱい回してもびくともしません。


ついに分解できました。力で回すのはあきらめて、小さな金槌で軽くたたく作戦に変更。たたくこと約100回、見事に固着は解消され、手でするすると回せるのでした。レンズを清掃して、組み立てる時になって、大問題を発見。先ほど万力で締めたときに鏡胴がゆがんでいて、前玉が入らなくなってしまいました。真鍮製の鏡胴は思ったより柔らかかったようです。修正をいろいろ試みましたが、一旦ゆがんだメスネジを真円に戻すのはほぼ不可能。1時間ほど苦闘の末、なんとか無理やり前玉をねじ込んだのですが、今度は前玉が二度とはずれなくなりました。結局座金の固着が前玉の固着に変わっただけです。座金の固着の方が、まだ良かったかも。鏡胴を万力で挟む場合、レンズをつけておくべきか悩みます。今回はレンズの傷を恐れてはずして作業したのですが、これが悪かったようです。レンズが入っていれば、鏡胴は強固で、ゆがむことはなかったと思います。


座金にM42のチューブを接着して、マウントの出来上がり。


2006年4月25日 Travenar 300mmその2

安物だと思って買ったTravenarですが、冩楽彩を見ていたらSchecht Travenarというドイツ製の優秀なレンズがあるということが分かりました。ひょっとしてこのレンズもいいレンズだったかもと思い、冩楽彩の掲示板に問い合わせたところ、多分泰成光学製でドイツの代理店向けOEM品だろうとのことでした。泰成光学は1970年に社名をタムロンに変更しています。Tマウント(42mmスクリューマウントだが、M42とはピッチが少し違う)だったことと、社名が刻印されていないことが非ドイツ製の証とのことでした。れんずまにあさん、ジオグラフィックさん、ありがとうございました。勉強になります。


2006年4月24日 Travenar 300mm

TRAVENARと書いてありますが、メーカー名もなく、あやしいレンズ。マウントはM42。525円だったので、部品取り用に購入。M42のエクステンションチューブになりそう。

使われた形跡はありません。


長さは約25cmの細長いレンズです。三脚座付き。M42なのでフィルムバックが短いのかと思いきや、7〜8cmありEOSに蛇腹をかませて付けてもピンとが合うようです。本来どうやって使うレンズなのでしょうか? 先端に62mm->58mmのステップダウンリング付き。後端にM42の短いエクステンションチューブ一個付き。525円の割には盛りだくさんの内容。


面白いと思ったのは絞りです。自動絞りではないので、引き伸ばしレンズのように、まず絞りをセットし、一旦開放にして(”O”)ピント合わせし、撮影時にセットした値まで絞る(”C”)という手順のようです。


3群4枚(前玉が張り合わせ)の古典的な望遠レンズです。ペッツバールのオルソスコープ型の構成です。絞り羽根は13枚。なかなか良い作りで、簡単に気持ちよくここまで分解できます。探していたオルソスコープ型のレンズであることに分解した後で気付き、ちょっと試し撮りしておけば良かったかなと思ったのですが、後の祭り。もう一度組み立てる気にはなれません。


中身が全くないM42チューブの出来上がり。


クックの330mmを先にとりつけてみると、ぴったり。長すぎたので、10cmほどのチューブを一本抜いてあります。ヘリコイドのトラベルも結構長いので、これで400mmのレンズくらいは楽に装着できそうです。強度的な心配が全くないのがこのチューブの自慢。前回作ったつぎはぎの300mm用チューブは、しばらくお蔵入り。


2006年4月23日 ツバサというレンズはOptochrome社製?

木川光学のツバサというセミ版のカメラにTsubasa Anastigmatというレンズがついていて、てっきり木川光学製だと思っていたのですが、”カメラ名の語源散歩(新見嘉兵衛著、写真工業出版社)”によると、”Tsubasa ツバサ 翼(Optochrome社、1937年)”と書いてあります。Optochromeというのは木川光学の別名のような気がしますが、いかがでしょう?


2006年4月22日 Apolloカメラは日本製

カメラ名の語源散歩(新見嘉兵衛著、写真工業出版社)を読んでいたところ、不明だったApolloカメラが登場しました。”アポロ・カメラ(1923)は曽根春翠堂の大名刺判のハンドカメラである”。以前私はあてずっぽうで1920年(大正9年)製造と推測したのですが、3年ほどしか間違っていなかったようです。パール2号のTESTAR 90mmも同じ1923年に輸入されており、辻褄があっています。


2006年4月21日 330mmのクックのトリプレット

13 INCH 330 MM. SERIES V COOKE ANASTIGMAT LENS No 266812 Made by TAYLOR. TAYLOR & HOBSON Lxx England (xxのところは判読できず)です。なかなか風格があるレンズです。前玉に小さなキズがあるのと、レンズが曇っているということで、ジャンクとして格安(一万円弱)で出ていました。キズは軽微で、曇りは簡単に拭き取れるので撮影には全く問題なし。それより、33cmという焦点距離が問題で売れなかったのでしょう。8x10インチのカメラの標準レンズのようですが、最近使う人はめったにいないのでしょう。製造年は不明ですが、Series 11を1920年としたので、Series Vは仮に1915年(大正4年)製造としておきます。1910年に始まったシリーズが1年に1進むと仮定しました。

真鍮に黒塗りです。


刻印の拡大図。


後玉は簡単に手ではずれたのですが、前玉はまったくはずれる気配なし。そもそもどこがネジなのかも全く分からず。2日ほど思案した後、どう考えてもここしかないと思い、万力(ゴムをかませて)と大型プライヤー(プラスティックヘッドのもの)で強引に回すと、やっとはずれたのでした。多分製造後90年たって、初めて分解したのだと思います。レンズの内側の黒い塗料は、どういうわけか新品の前玉を組み付けた後で塗られたようです。これが固着の原因になって、誰も開けられなかったのだと思います。1万円なら壊しても何とか我慢できますが、昔は高かったと思いますので、とても強引に開ける気はしなかったでしょう。とにかく、ここまで分解すると掃除は至って簡単で、ピカピカの新品同様になったのでした。


蛇腹に装着したところ。下のものは30cmの物差ですので、全長約40cm。巨大です。チューブの材料は、中古のフード。瞬間接着剤を使用。接着面積が非常に小さいので、金槌でたたけば簡単に分解できます。脱落が恐いので、ガムテープで補強。製作時間は約30分。ちょっと派手ですね。今度、黒いガムテープを買ってこよう。


約2m先の道具箱。絞り開放でストロボ直射、フードなしでもハレーション起きません。当時のクックのトリプレット出現の驚きが十分想像できます。


ピクセル等倍で切り取り。ISO800絞り。ストロボ直射。文句のつけようがありません。


2006年4月20日 Ernst Leitz Wetzlar No 104291 Elmar 1:4,5 F=10,5cm

以前から買おうか買うまいかずいぶんと悩んでいた中判のエルマーを買いました。レンズ単品です。ライツのレンズの製造番号と製造年の表はWebにあるのですが(http://www.forloren.dk/lbf/leica_lens_serial.htmなど)、1933年以前のレンズは書かれていません。最近お世話になっている冩楽彩に問い合わせましたところ、1932年製造(昭和7年)でNagel社のVollenda 620というカメラについていたことが分かりました。冩楽彩さん、ありがとうございました。

NagelラベルのついたCOMPUR 0番シャッターに入っています。これはイコンタなどと同じもので、セイコー0番よりはネジが小さいので、てっきり00番だと思っていました。前玉はきれいですが、後玉の周辺に少々バルサム切れがあります。写りに問題はないと思います。


レンズの構成はテッサーと同じ3群4枚です。


2006年4月19日 COOKE 6.25インチの新マウント

よく写るクックのトリプレットですが、専用蛇腹だったため、持ち運びが不便で出番がなかったので、簡単な新マウントを製作しました。これで私の標準44mmスクリューマウントに取り付けられるようになりました。

買った当初は約16cmの焦点距離は長いと思ったのですが、最近は30センチまで使っているので、改めて見ると割と広角ですね。

 
後玉の枠にM42のチューブをガムテープで仮止めしただけです。作業時間5分。標準で使っているミランダの44mmチューブが品切れのため、入手しやすいM42チューブを使いました。蛇腹には42mm-44mm変換リングを経由して接続します。


こんなシンプルな構成になりました。試写したところ、これでも良く写ります。


2006年4月18日 Rodenstock Sironar 1:5,6 f=135mm 8764915

ローデンストックのレンズを一本も持っていなかったので探していたところ、ピカピカのシロナーが大変安く出ていたので購入。旧型でシングルコートだそうです。http://www.usask.ca/lists/alt-photo-process/2003/may03/0280.htmを見ると、1974年製造のようです。



前玉の周りに刻印されています。撮影しにくい。


4群6枚のオルソメタータイプと思われます。最新のアポ・シロナーNと同じじゃないかと思うのですが。前玉だか後玉だか忘れましたが、どちらかをはずしたときのF値がオレンジ色の文字で刻印されています。シングルコートのせいか、非常にハレーションを起こしやすい。ジンマーと同じような感じです。しっかりハレ切りしないといけないレンズですね。私の蛇腹では難しいのですが。


2006年4月17日 ALTAIR

乾板カメラなのですが、ボディーには何も字が書かれていません。レンズに ANASTIGMAT ALTAIR 1:6,3 F=135 No 29589と書かれていますが、Webで検索しても何も出てきません。"I"の字の上に点がふたつ付いているのが怪しい。レンズは3群3枚のトリプレットです。シャッターにはOMNIOと書かれていますが、こちらも何だか分かりません。正体不明のカメラです。 ご存知の方がおられましたら、是非教えて下さい。

見た目、普通の三枚玉です。


なかなか堂々としたプレートカメラですが、何も書いていない。


木製の乾板カメラです。外装の皮はきれいに張りなおしてあります。


やっぱり何も書いていない。


レンズは張り合わせのない三枚玉。全部ばらばらになりますので、掃除は簡単。撮影してみると非常にハレーションを起こしやすく、使いにくいレンズでした。掘り出し物とは行かなかったようです。


---ksmt.com---10D日誌---ご意見、ご感想などこちらまで---掲示板---メール---