EOS10D日記その7

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2006年2月27日 Krauss+Jena Protarlinse 約20cm

2群8枚の4枚貼り合わせのプロターリンゼVII類を購入。28,500円也。プロターリンゼは前群レンズ、後群レンズとも4枚貼り合わせで、単独で収差が補正されています。これにより、前玉だけ, 後玉だけ、両方の3本のレンズとして使えます。この個体の場合、前玉がクラウスの412mm F12.5(Zeissのライセンス生産), 後玉がツアイスイエナの350mm F不明。両方使うと約200mm F値不明(多分F7くらい)になるそうです。プロターリンゼの玉のネジは3種類ほどに統一されているそうで、前玉と後玉を別々にレンズ交換できます。同じ焦点距離を2枚か、一段違い(前玉の方を長く)がツアイスの推薦ですが、接写をする場合は逆に前玉を短くすることもあるとのこと。もう一個別のプロターリンゼがあり、前後ともツアイスの41cmのレンズでした。こちらの方がレンズはきれいだったですが、値段が高かったのでやめました。買った方のレンズは安くてレンズに傷が多かったのですが(特にツアイスの方)、焦点距離とメーカーの違うプロターリンゼが2枚買えるのでお得だなと思ったのでした。さて、どのように写るのでしょうか。週末までにマウントを作らねば。

この固体の場合、前玉がE Krauss , Paris No 81288 Lent - Protar Zeiss 1:12 F=412

後玉がCarl Zeiss Jena Nr.493312 Protarlinse VII F=35cm

です。それにしても写真に撮りにくいです。前玉と後玉の刻印を一緒に写すことはどうしてもできません。


分解するとこのようになります。後玉は小さいのでステップアップリングのような構造になっています。

結構大きくて重い玉です。直径も長さも6cm以上あります。問題はマウントです。61mmほどのオスネジなのですが、メスネジが付いておらず、自作する必要があります。重いレンズなので、いいかげんなマウントというわけにはいきません。


一旦61mmの巨大なメスネジの自作を決めたのですが、家に帰ってよく見ると、後玉にフィルター用のメスネジがあり、約39mmです。試しにライカLのオスを入れてみると、ぴったりと入ります。39mmの両オスか、39mmと43mmの両オスを作れば、多少無理はありますが、何とか既存の蛇腹にマウントできそうです。


因みに写真に写っているプラスティックのノギスは安物ですが重宝しています。非常に軽いのと、レンズの上に落としても傷がつかないところが気に入っています。それと、ノギスから手を離しても、超軽量のため、そのままレンズにくっついています。大変撮影しやすいです。


2006年2月26日 新型袋蛇腹

岸本レンズの中核である自家製袋蛇腹にいくつかの問題点が出てきました。
1. EOS5Dで120mm以上の長いレンズを使うとケラレる。
2. 200mm以上の長いレンズに対応できない。
 
いつものカメラケースを2個縫い合わせて、長い袋蛇腹作成。これだと相当強度が出せます。レンズマウント部分は従来39mmだったのを43mmに拡大。これで230mmまで対応可能。230mmレンズで多少アオッてもケラレません。

ふたつの袋の間には50mm程度の大きな穴があけてあります。


EOS用のエクステンションチューブの内径は、わずか35mm程度しかないので、これではケラレてしまいます。そこで、彫刻刀で削って43mm程度まで拡張。電子接点は使えなくなってしまいます。左が削る前。右の二個が削った後。


さらにジャンクのレンズから取り出した7cmほどの筒を取り付けると、約300mmまで対応できます。大昔のフィルムは4x5インチとか8x10インチが普通なので、標準レンズが20cm〜30cmになります。これを使えば、レンズの選択肢が大きく広がります。


2006年2月22日 アサヒカメラ増刊 郷愁のアンティークカメラ III レンズ編 落札

以前、”アサヒカメラ 1993年12月増刊 郷愁のアンティークカメラ III レンズ編” を探していると書いたところ、QTVR仲間のkaneko-adさんがヤフオクに出ているのを見つけて教えてくれました。早速入札したところ、うまく落札できました。「1、ドイツ+日本編」92年12月。「2、世界編」93年7月。「3、レンズ編」93年12月。朝日新聞社 定価2400円が3冊。表紙スレあり。3冊セットで4000円でした。開いてみると、なかなか保存状態が良く、安かったと思います。以前「2、世界編」は某中古カメラ屋さんで2世界編を買った時は一冊で3000円でした。kaneko-adさんありがとうございました。

ちょっと読んでみたのですが、アサヒカメラに掲載されたレンズ関連の記事が、戦前のものからそのまま掲載されているのが面白かったです。当時の様子がよく分かります。やはり一番進歩したのはコーティングのようですね。

もうひとつ面白かったのは1993年当時のレンズの宣伝です。まだ100%AFになっていなかったようで、レンズ新発売の宣伝にAF用とMF用が両方登場します。タムロンが28-200(35-200?)の高倍率ズーム新発売の宣伝を出していました。最短2mで専用のクローズアップレンズ(といっても1mまで)がオプションと書いてあるのが時代を感じさせます。わずか13年前なんですけどね。


2006年2月20日 EFレンズ同時購入キャンペーンのCFカード届く

キャノンから5DとEFレンズ同時購入キャンペーンのCFカードが届きました。サンディスク Ultra II 1GBです。申込書には3週間以上、特に締め切り間際には到着まで4週間かかると書いてありましたが、2週間ほどで到着。早かったです。ちょっと使ってみたところ、やはり私のハギワラの一番遅いCFとは違い、瞬時に書き込みが終わります。5Dの場合、バッファーがたくさんあるので、遅いハギワラでも問題を感じたことは一度もありませんが、速いにこしたことはないでしょう。最近撮影枚数が減っていてるのと、5Dの燃費がいいのとで、一週間にCF2GBと電池一個あれば足りてしまっています。ほとんどJPEG Large Normalでしか撮影しないので、あまりメモリーは要りません。

ところで5Dの液晶ですが、噂通り屋外では見難いです。10Dの液晶になれてしまっているせいか、さっぱり露出が分かりません。屋外で液晶を見ると、+1.5絞りくらい露出補正をかけたくなるのですが、パソコンで見ると明るすぎます。ヒストグラムを見ても、やっぱり分からない。液晶の輝度調整と慣れが必要です。RAWで撮ればいいのですが、現像が面倒くさくてその気になりません。

5DのAFは10Dよりはだいぶいいようです。300mmで試したところ、なかなか良い歩留まりでした。クラシックカメラの撮影はオリンパスのマクロレンズを使っていますが、ファインダーがいいので、マニュアルのピント合わせは楽です。それはそうと、EF85mm F1.8でピントのテストをしなきゃと思いつつ、まだできていません。


2006年2月19日 ICA Achromatレンズの貼り合わせ

J.BOUMAN FOTO HANDEL AMATUER AMSTERDAMというボロボロの古いカメラ(フォーマット8.8cm x 11.4cmのハンドカメラ)にICA-Akt-Ges Dresden Achromat 1:12.5 推定焦点距離13,5cmというレンズがついていたので購入。ジャンクで5,000円也。Achromatですので1群2枚の単玉です。シャッターは壊れていますが、絞りはちゃんと動きます。


カメラにはこんなプレートがついていました。アムステルダムのJ.BOUMAN社がアマチュア用に作ったカメラという意味でしょうか? Webで調べても何も出てきません。クラシックカメラの本にもオランダの会社の記載はありません。


皮がはがれていたので、セロテープで仮止めして撮影。


蛇腹は固着しており、レンズを引き出すと、ボディーから外れて、縮んだまま前に出てきました。


単玉レンズの前にシャッターがあります。


大きなレンズです。こんな大きな単玉ははじめて見ました。


きれいに洗浄して、組み付けるときに誤って落としてしまいました。パリンと乾いた音。5千円がパーか? いやいやレンズは無傷で、貼り合わせ面のバルサム糊がきれいにはがれて、2枚になったのでした。さあこれは、どうしたものか? バルサム糊は持っていないし困った。


2枚を重ねると、きれいなニュートンリングが出ます。何らかの糊で隙間を埋めなきゃ。Webで調べたところ、何と、公園のもみの木からバルサムを採取するという荒業もあるようです。
http://homepage3.nifty.com/yamaca/idea2/idea30.html
それは今度やってみるとして、今日のところは応急処置が必要です。まずはラッカー薄め液で古いバルサムを除去。


手近にハンドクリームがあったので、これを試してみました。ちょっとだけ真ん中につけて、ギュッと押すと、満遍なく行き渡り大成功。ただ固化はしませんので、セロテープで固定。ハンドクリームは透明ではありませんので、わずかに曇っていますが、応急処置としてはこんなものか。


普通レンズのネジと、マウントのネジは別々なのですが、このシャッターは共用しているため、そのままではマウントできません。レンズを抑える金具の後ろに、直接マントを接着する必要があります。瞬間接着剤で適当にマウントをこしらえて、いよいよ試写。


ちゃんと写るではありませんか。ハンドクリームで張り合わせたレンズなので、心なしか潤いのある画質?


ピクセル等倍だとこれくらいの画質。上出来。


2006年2月18日 ICAとZeiss IKONの合併図

20世紀初頭のドイツにおけるカメラメーカーの合併の図解です。これは分かりやすい。
http://homed.inet.tele.dk/riess/goerz.html


2006年2月17日 OPTIMUS用絞りの製作

OPTIMUSは元々差し込み式の絞りが付属していたらしいのですが、既に失われています。そこで簡単に自作して見ました。
材料: 0.5mm厚くらいのポリプロピレン板(東急ハンズで315円) そこそこ反射の少ないもの。つや消しは薄いものしかありませんでした。多少厚いほうが扱いやすそうでした。
道具: コンパス、定規、彫刻刀、はさみ
方法: コンパスと定規で寸法取りして、はさみと彫刻等で切る


一番大きい円が直径20mmなので多分F12くらい。中間の円が15mmなのでF18くらい。小さい円が10mmなのでF23くらいの予定。その他の形はおまけ。


寸法取りは案外難しく、少し大きめに作って、実物あわせが一番でした。枚数節約のため、一枚に2種類の穴を開けてみました。ポリプロピレンは非常に強いので、多少のことでは壊れません。


早速ベランダから外の道路を撮影。ピントが合っているところは普通に写りますが、ボケは完全に絞りの形になります。写真はブレていますが、実際にははっきりくっきり絞りが写ります。因みにKはksmt.comのK。


星もきれいに写りますが、星の真ん中に丸が見えるのはどうしたことか? 絞りの穴の中に何が潜んでいるのか? 無から有が生じるのか? 正解はバルサム剥離でした。このレンズ、後玉の中央に4mmほどのはっきりしたバルサム剥離があり、それで安く買えたのでした。忘れてました。バルサム剥離がこんなにくっきり写るとは思ってませんでした。が、100年以上前のレンズですので、これもレンズの味ということで。


2006年2月14日 Perken Rapid Rectilinear "OPTIMUS"

Perken, Son & Co, Ltd Hatton Garden LONDON Rapid Rectilinear 7 x 5 "OPTIMUS"
Specially Prepared for Shanker Dass & Co LAHORE
という長い刻印のあるレンズです。5 x 7 inch用で焦点距離は約230mm。F値不明。8400円也。レンズにバルサム切れとキズがあるため、安くなっていました。多分写りには関係ないと思います。多分1890年(明治23年)頃のレンズ。

ここにきれいなカメラが出ています。
http://sinarp2.at.infoseek.co.jp/Vintage/Perken.shtml

こちらには10 x 8 inchのものがでています。昔のイギリスでは 5x7, 8x10とは逆の言い方をしていた用です。本来写真のような差し込み式の絞りが付いていたはずですが、既に失われています。自分で作って下さいとのこと。
http://www.lpfoto.se/eng/auktioner/objectwinInfo.asp?auktionsnamn=Auktion%2017%20den%208%20December%202002&objektnr=124


絞りの差込口が見えます。


10Dに装着すると、こんなにながくなります。ネジは43mmなので、ヘリヤー150mmと同じ。ヘリヤーのアダプタを作るときに買った43mmのチューブをすべて使ってちょうど良い距離。さすがに5x7の標準レンズは長いですね。

文字がレンズ側面に広く書かれているので、一枚の写真では撮り切れません。4枚に分けました。





2006年2月13日 木川光学 Tsubasa

木川光学のツバサです。1500円也。写真工業出版社の”スプリングカメラでいこう”に昭和19年の「国産写真機ノ現状調査」によりますと、ツバサ スーパーセミというカメラがでており、戦前のカメラのようです。木川の75mmレンズは、キコー、エリナー、ルコマーと三種類でています。ツバサというレンズは記載されていません。


ぼろぼろの外観のわりに、シャッターはきれいです。レンズはスリガラスのように汚れていますが、洗えばOKそう。前玉回転式ピント合わせのセミ判スプリングカメラです。


外観は本当にぼろぼろ。お店の人からは、絶対写りませんよと言われました。というか、どのお店でも私がカメラを買おうとすると、”写りませんよ”、”保証はつきませんよ”と言われます。いまのところ全部写っています。それどころか、洗浄すると傷もなく新品同様のレンズが多いです。コーティングしていないレンズの場合、レンズのカビで汚れているケースはほとんどありません。だいたいのクモリは埃かグリースです。三枚玉の場合は、何を買っても大丈夫です。貼り合わせ面がないので、すべての汚れはレンズの表面で、洗浄可能です。


なかなか美しい軍艦部。


TSUBASA ANastigmat 1:3.5 f=75mm No2014 こりゃまた若いシリアルナンバーですね。


レンズはこのように簡単に分解できます。水洗い後はきれいになりました。


これも典型的な3枚玉です。ドイツ製と特に変わりません。


2006年2月12日 Apollo Testar

Apolloと書かれた乾板ハンドカメラです。カメラ屋さんでは、よく見もしないで勝手にTessarだと思っていました。フランスでもテッサーがライセンス生産されていたんだと。6500円也。家に帰ってよく見ると一字違いのTestarでした。レンズをはずしてみると、予想通り3枚玉。Webで調べてみたのですが、このカメラとレンズに関する記事は全く見つけられませんでした。調査続行。


Apolloとだけ書かれています。枠は8.3cm x 5.8cm。


普通のハンドカメラです。レンズボードを上下左右にシフトできます。


ライズしたところ。ストロボのシューは後付けのようです。


レンズ:T C W PARIS - TESTAR f=6.3 F=105 No 13025
シャッター:IBSO


前玉2枚は一体になっています。かしめてあるので、これ以上分解できません。水洗い後きれいになりました。前玉2枚の間に少しでも水が入ると曇りますが、しばらく干しておくと乾きます。


典型的な3枚玉。開放ではソフトで、絞るとシャープ。


2006年2月11日 Spezial Aplanat F-135 1:8

正体不明のAplanatです。カメラには文字が何も書いてありません。レンズにはSpezial Aplanat F-135 1:8をだけ書いてあります。Webで探したら、似たようなのを見つけたのですが、
http://www.kamera-geschichte.de/files/mysterie_1.htm
この人も分からないようです。こちらも水没品のジャンクで5000円也。

今日は一日レンズいじり。古いカメラからレンズを取り出して、洗浄して、シャッター修理して。ちなみに、ここに出している写真はオリンパスの50mmマクロで撮りました。気まぐれで5Dに取り付けてみたのですが(市販のマウントアダプタ使用)、非常に具合がいい。マニュアルフォーカスが快適で、びしびしピントが合います。マクロの場合、AFでイライラするより最初からマニュアルの方がいいのかもしれません。


洗浄後レンズはきれいになりました。絞りは快調です。木製の本体と、蛇腹はぼろぼろ。シャッターの塗装がぱらぱらとはげるのは困ったものです。


これは洗浄前。水洗いすると見違えるようにきれいになりました。VARIOシャッターは水没品にもかかわらず、絞りがスムーズに動きます。驚きですね。


F8ではこんなものです。昔らしくていい感じ。シャッター羽根的にはもっと開けられますが、レバーがF8で止まるようにネジが打ってあります。これをはずせば、もっとソフトな画像にもできます。


2006年2月10日 フォクトレンダー スコパー 10,5cm

フォクトレンダーのレンズは既にたくさんありますが、どういうわけか最も一般的なスコパーを持っていなかったので購入。5000円也。残るアポランサーは高嶺の花。ボディーもレンズもひどく汚れていて、レンズはスリガラスのようで安い。磨けばきれいになることは間違いないので、まさに私向き。

 
以前買ったフォクター付きのベッサとほとんど同じ。


シンプルです。前蓋の下にシャッターレバーがあります。。


Voigtlander Braunschweig Nr944953 Anastigmat Skopar 1:4,5 F=10.5cm 多分1934年製。フォクトレンダーの製造番号表を見ると、1929年が537,338で、それ以降は1934年の1,000,000番まで飛びます。この個体は1,000,000番に近いので多分1934年製だと思います。


ばらばらにして、水洗い。一発で新品同様に。


開放では甘く、ちょっと絞るとしっかりした描写になります。絞りによって絵がはっきり変わるのが面白い。


2006年2月9日 六桜社 リリー Tessar 10.5cm付き

六桜社のリリーを購入。8500円也。Carl Zeiss Jena Nr 1196937 Tessar 1:4,5 f=10,5cm (1930年、昭和5年製造)は既に一本持っているので、どうしようか悩んだのですが、リリー自体は前から欲しかったし、8500円なら安いと思い購入決定。


ちょっと見難いですが、Rokuoh-shaと書いてあります。ジャンク品なので外観はボロボロ。


レールの下にLilyと大きく書いてあります。皮の取っ手の部分にも小さくLilyと書いてあります。


リリーの雄姿。Tessar+Compurですので当時は最高級品だったにちがいありません。タスキのところなどの金属部分はしっかり作ってあり、今でもスムーズに開閉できます。


シャッターは快調。レンズは汚れていますが、清掃すればきれいになるでしょう。


皮ケースにリリーと取り枠4枚がきっちり入っていました。


取り枠は樹脂製で六桜社のロゴ入り。きれいなものです。


2006年2月8日 Dr. Krugener's Extra-Rapid-Aplanat

1866年(慶応2年)、ダルメヤーがラピッド・レクチリニアを発表した。同じ頃、これとは全く無関係に同じような設計がドイツに現れ、アプラナット(Aplanat)と呼ばれた。設計製作はH.A. シュタインハイル博士である。(中略)同時発明というのは決して珍しいことではない。需要があり、必要な技術も開発されていれば、あらゆる国々で多数の研究者が同じ方向に沿って研究していても不思議ではない。(中略)ラピッド・レクチリニアあるいはアプラナットは信じ難いほど成功したレンズで、その基本設計はあらゆるメーカーで採用された。(”写真レンズの歴史”より引用) ということで、アプラナット(アプラナート)は60年に渡って、中級以上のあらゆるカメラに取り付けられたらしいので、中古カメラ屋さんにたくさんあってもいいはずですが、実際にはコダック以外ではなかなか見かけません。やっと見つけたのですが、カメラはボロボロのジャンク品。木製のハンドカメラの水没品のため、外観は悲惨な状態です。シャッターも錆び付いて全く動かないのですが、レンズだけはきれい。多分私以外には誰も買わないだろうと思い、5000円とジャンク品の割には高かったのですが購入。


オランダのIVENSという会社のカメラのようです。


ぼろぼろで閉まりません。


タスキが一本取れているので、直立も難しい。クラシックな外観。


Dr. R. Krugener's Extra-Rapid-Aplanat と書いてありますので、Aplanatに違いありません。シャッターの記号が変わっています。T, B, Z, D, M, I などは見たことがありますが、Oというのは初めて見ました。シャッターが動かないので、何の意味か分かりません。COMPURではZがタイムなので、Oはバルブかも?


全体にさび付いていますが、ここまでは簡単に分解できます。ただボロボロの蛇腹を破いて取り除いただけ。


シャッターを開けようとしたのですが、ビスの頭がつぶれていて、ドライバーで回せません。ダイヤモンドやすりでビスの頭に溝を切って何とか分解。鉄製の絞り羽根が錆びて膨張しており、うまく動きません。シャッターはこじ開けると、開いたままの状態になり問題なし。


生まれて初めてのシャッター分解。


錆びて今にも折れそうな絞り羽根をミシン油で清掃して、組み立て。2回ほど失敗の後、見事に組み立て成功。スムーズに動くようになりました。組み立て自体はコツが分かれば簡単。しかし、12枚も羽根があると大変です。


絞りにストッパーがあって、F8よりは開けられないのですが、解除してF6.3くらいの開放にするとこんな感じ。ピンボケではありません。ピクセル等倍でみると、ちゃんと合っています。光のにじみでこのような絵になります。


F11くらいまで絞ると、カチッとした絵になります。


2006年2月7日 イコネッテ

Ikonette Frontar 1:9 F=8cm
ツアイスイコンのイコネッテです。真円絞りの単玉です。レンズが前にあります。新宿中古市場で7350円也。外観は痛んでいますが、レンズはきれいです。小さいシャッターの中にF8、F16、F32の真円絞りが仕込んであるところが気に入りました。

塗装は痛んでいますが、こじんまりしとして好感の持てる外観です。


銀色の脚はきれいです。


ボディーの底のフックをはずして、カバーを下に抜きます。


シンプルなエバーセットシャッターです。シャッタースピードがB(バルブ)とM(多分1/40秒くらい)のみ。絞りはF9、F16、F32のみのロータリー式真円絞り。


レンズは単玉メスニカス。コンタクトレンズのようです。レンズの清掃はとても簡単。


5Dにつけて、バルブでシャッターを開きながらパチリ。期待通りの単玉の写りです。なかなかシャープでよく写ります。コダックのベス単とは違って、フードというものがないので、F9より開けることはできません。


2006年2月6日 郷愁のアンティークカメラII世界編

以前から探していた本、アサヒカメラ1993年7月増刊 「郷愁のアンティークカメラII世界編」を発見し購入しました。一冊まるごと古いカメラの紹介です。もう一冊探している山崎さん推薦の、アサヒカメラ1993年12月増刊 「郷愁のアンティークカメラレンズ編」はまだ見つかっていません。


2006年2月5日 ふるさと切手「河津桜」

2月1日、日本郵政公社から発売された、ふるさと切手「河津桜」にksmt.com撮影の写真がデザインの参考として使用されました。原画作者である瀧健太郎氏(切り絵作家)からの要請により、著作権の間接使用を承諾させて頂きました。直接写真が切手になったわけではなく、写真を参考にして瀧氏が切り絵で切手のデザインをされました。大変きれいな切手にデザインして頂いた、瀧健太郎氏に感謝します。発行枚数は全国で何と960万枚とのこと。


間接使用された写真はこちらです。


日本郵政公社のホームページでも紹介されています。
日本郵政公社ホームページ
日本郵政公社東海支社 報道発表資料

昨年11月に瀧健太郎氏から依頼があった時は驚きました。別段何の意図もなく私のホームページに掲載していたメジロと河津桜の写真を切手のデザインに使いたいというわけですから。応募したわけではありません。もしろん喜んで協力させて頂きました。Webを検索したときに偶然発見されたとのこと。運良く切手の趣旨にぴったり合ったらしいのです。普段はQTVRばかりで、あまり静止画はWebにのせないのですが、この時たまたま掲載しておいて幸運でした。


2006年2月4日 EOS5D+Sigma8mmサンプル

掲示板に5D+Sigma8mmの話が出ましたのでサンプル画像をのせます。DGじゃない古い方のSigma8mmです。
http://www.ksmt.com/panorama/060124nara/060124nara.htm にあるQTVRの
原画を縮小したものです。
PTGui+PanoramaToolsでEquirectangular変換した後 ものせておきます。


2006年2月3日 Balda BALDAX, Meyer 1:2,9 F=7,5cm

バルダックス 1934年(昭和9年)発売。6x4.5cm 120フィルム。メイヤー トリオプラン F2.9 7.5センチ付き。セミ版バルダックスの本機はレンズ・シャッターの組み合わせが豊富で、廉価大衆機として世界中に広く普及し、同年のウェルター社発売のセミ版ペルレとファン層を二分して愛用された。(日本カメラ社、クラシックカメラ博物館から引用) 10500円なり。トリオプラン F2.9が欲しくて購入。カメラ、レンズともわりときれい。


セミ版のわりにシャッターが大きく頭でっかちの印象。


表面


裏面。細かい被写界深度表が貼ってあります。


手動式パララックス補正装置。ダイヤルを回すと、ファインダーが前後に動きます。


レンズの内側に金色の刻印があります。これは撮影しにくい。Meyer Gorlitz Nr. 746112 Trioplan 1:2.9 f=7,5cmと書いてあります。


レンズは典型的な3枚玉。全部分解して、洗浄できます。グリースを落とした後は、見違えるようにきれいになりました。


マウントはイコンタと同じ。


2006年2月2日 Ikonta Six 520/16 NOVAR ANASTIGMAT 1:3,5 f=7,5cm

スーパーイコンタA(スーパーセミ、1934年)、スーパーイコンタB(スーパーシックス、1935年)発売の後を追うかのように1937年に発売された簡素な初期のイコンタシックス。翌年にマイナーチェンジを加えて名称を521/16と変更した。(日本カメラ社、クラシックカメラ博物館から引用) このことから1937年(昭和12年)製造と特定できます。NOVARレンズは普及型であるため、シリアルナンバーは刻印されていません。8400円なり。委託品のため、レンズは一応磨かれていましたが、分解洗浄後さらにきれいになりました。


なかなかきれいなカメラですが、NOVAR付きなので割と安いようです。


表面


裏面。520/の先は読み取れませんが、多分16と書いてあるのだと思います。


ZEISS IKON Panchromを使えと書いてあります。フィルムも売っていたんですね。KodakとAgfaの影響でしょうか?


シャッターには名前が書かれていませんが大変コンパクトなシャッターです。低速に粘りがありますが、ちゃんと動きます。


レンズは典型的な3枚玉で、全部ばらばらにして洗浄できます。


マウントはMinoltaのCoronarと同じネジ。


2006年2月1日 First Anastigmat 1:4.5 F=7.5cm

セミファーストは1942年(昭和17年)頃、東京下谷の皆川商会が販売。戦前カメラ愛好者の底辺拡大に貢献した販売店ブランド名による大衆機。製造は栗林写真機製作所。レンズ、シャッターの組み合わせは数多く存在したようであるが、このカメラにはSEIKOSHA LICHTシャッターがついている。1940年初期のBBセミファーストには国産で最初にダークスクリーン式露出計を装着したモデルがあった。(日本カメラ社、クラシックカメラ博物館から引用) 蛇腹がちぎれそうなジャンクを1500円で購入。レンズは非常に汚れていたが、分解洗浄後は新品のようにきれいになった。このレンズはトリプレット型であり、ばらばらに分解して水洗いできる。ちなみに洗剤は洗面所にあった薬用ハンドソープを使いました。
 
セミファーストの雄姿。1500円とは思えません。


シャッターはタイムと1/100だけ動きます。シャッターとレンズはきれいです。


このように全部ばらばらにできるので、清掃は簡単。前玉繰り出し式ピント合わせのため、グリースが入っています。洗剤でグリースを落としておくと後が楽です。


マウントはプロンターIIと同じ。


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