2011.9.24 Shin-Yokohama 新横浜 良い世さ来い2011新横黒船祭

Camera: EOS 5D
Carl Zeiss, Jena No 4475 Anastigmat 1:4,5 F-183mm D.R.P 10569
J. H. Dallmeyer Stigmatic Series I No 1. No. 59591 (f4/150mm)
Carl Zeiss Jena No 57693 Planar 1:4 F=205mm D.R.P. 92313 Serie Ia, No 12

昨日の新横の「よさこい」が素晴らしかったので、昨日のレンズより二世代ほど古いレンズを持って同じ場所に出かけました。今日は快晴なので、古いポートレートレンズ向きだと思います。

1891年から1897年にかけて、F4.5クラスの明るいポートレートレンズの開発が行われます。まず1891年にツアイスのルドルフがAnastigmat Series I F4.5を開発します。しかしわずか40本ほど生産しただけで、1896年で製造中止となります。ダルマイヤーのアルディスがこれを改良し、1895年にStigmatic Series I F4を開発します。ツアイスのルドルフはAnastigmat Series I をあきらめ、1987年頃ダブルガウス型のSeries Ia Planar F3.6を開発します。この世代のレンズ三本を本日使用しました。これらのレンズの実写性能については、ほとんど研究されていません。

その後、ツアイスのルドルフは1899年にSeries Ib Unar F4.5、1902年にSeries Ic Tessar F4.5を開発します。Tessar Ic/IIbは爆発的なヒットとなり、F4.5クラス明るさののレンズは完成したと言えます。この世代のレンズは今回は使っていません。Tessar Ic/IIbについては良く研究されていますが、Unar Ibの実写性能についてはほとんど研究されていません。

しばらくTessar全盛期が続きますが、1920年代になると、Taylor HobsonのリーがOpic F2を開発します。次にErnemannのベルテレがErnostar F2/F1.8を開発します。これが昨日使った世代のレンズです。Ernostarで撮影した古い時代の写真は良く目にしますが、最近の作例は少ないです。Opicに関しては全く研究されていないようです。写真レンズの歴史という分野では、世界中で誰も行っていないと思われる調査研究が山ほどあります。私はここが最も面白いと思います。


Carl Zeiss, Jena No 4475 Anastigmat 1:4,5 F-183mm D.R.P 10569








F=4.5, Right: Pixel crop
1891年に開発されたZeiss Anastigmat Series I F4.5ですが、ツアイスの台帳にはわずか42本しか記載されていません。F4.5というのはZeiss Anastigmatの中では最も明るいのですが、当時一般的に使われていたペッツバールにもF4.5クラスのレンズがあったので、勝てなかったのだと思われます。当時、(1)ポートレートは狭角だか明るいペッツバール型レンズ、(2)風景は暗いが広角のラピッドレクチリニア型レンズという棲み分けができていたと思われます。Zeiss Anastigmatは(1)では成功しなかったが、(2)では割と成功した(他に適当に広角で適当に明るいレンズがなかったので)、と言えるかもしれません。

そんな理由で、Zeiss Anastigmat Series Iの作例を目にする機会はなく、評判も聞いたことがなく、このレンズが本来の性能を維持しているのかを知ることはできません。


J. H. Dallmeyer Stigmatic Series I No 1. No. 59591 (f4/150mm)







F=4.0, Right: Pixel crop
Dallmeyerの秘書のAldisがZeiss Anasgtigmat Series Iを改良してStigmatic Series Iを作ります。真ん中に2枚貼り合わせのエレメントを追加して、2-3構成から2-2-2構成に変更しています。これが商業的に成功したかどうかは分かりません。キングズレークの本には、このレンズは10年以上作られたと書いてありますが、このレンズ一本だけしか見たことがありません。このレンズの作例は公開されておらず、比べるものがありません。Stigmatic Series IIでは明るさをF6まで落とし、格段にシャープになったので、成功を収めたようで、中古市場で見ることができます。


Carl Zeiss Jena No 57693 Planar 1:4 F=205mm D.R.P. 92313 Serie Ia, No 12








F=4.0, Right[ Pixel crop
このレンズ、あまりよく写らないという印象が強く、何人かの方に良く写らないと言ったのですが、訂正した方がよさそうです。ピントさえ合わせられれば、すばらしい性能を発揮します。しかし、微妙なフレアがあり、精密にピント合わせすることが難しいのです。したがって、一生懸命ピント合わせする意味はなく、ピントをずらしながら闇雲に枚数を撮影して、幸運を待つという作戦になります。こらはまさにデジタルの利点で、1/100くらいの歩留まりでも全く不満はありません。露出はAEで特に問題ありません。