Margaret Cameron, her Jamin lens and Collodion

明日撮-鉄刺 さんにご紹介いただいた、中崎昌雄「コロジオン湿板時代の二人の肖像写真家 ルイス・キャロルとキャメロン夫人」中京大学教養論叢第36巻第3号61-132頁(1996.02.29)中の105-107頁から引用させて頂きます。突っ込みどころ満載で面白いですね。Tomas Dallmeyerの自社製品宣伝の部分はかなり割り引いて読んだほうがいいようです。

(以下引用)

創業者John Henry Dallmeyer(1830−83)の長男であるThomas Thomas が調べたところCameron 夫人のレンズはフランス製「Jamin」レンズであった。Jean Theodore Jamin はパリ光学機器商で, レンズはVoigtlander社「Orthoskop 」の模造品であった。

(中略)

「Jamin」レンズもVoigtlander社の「Orthoskop 」同じ欠陥をもっていて,とくに色消しが悪かった。焦点距離12インチ(30.5cm),直径3インチ(7.6cm)で固定絞り1 8/7インチ(4.7cm)が付いていてF6 − 7 で使った。この焦点距離はCameron 夫人のガラス板9 × 11 インチ(23 × 28cm )に対して短すぎたが, 彼女は中央部分だけしか使用しなかったから差し支えはなかったはずである。問題は不完全な色消しである。これによる焦点ボケは絞りを小さくすることにより是正されるが, 固定絞りではこれが不可能である。その上にCameron 夫人のセッカチがある。焦点を合わすまで待てないのである。

(中略)

その上に彼女は「レンブラント効果」を狙って, カーテンを閉じて僅かの隙間からの光線だけを使ったから光量が不足する。その分だけ露出時間が長くなるのは避けられない。それで露出時間は3 分から7 分と言う, いまでは考えられないほどの長さとなった。これでモデルが動かなかったらおかしい。焦点ボケに動きブレが重なる。露出時間は数を数えて測ったが500 までも数えたと言う。

(中略)

1866 年になってCameron 夫人は12 × 15 インチ(31x38cm ) 版用の大型カメラを購入した。レンズはDallmeyer 「Rapid Rectilinear」(1866 )で, これは球面収差も色収差も当時としては最高に修正されたレンズであった。焦点距離は30 インチ(76cm ) で各種のサイズの絞りが前玉と後玉の間に挿入できた。これをF8 に絞って使用した。レンズの焦点距離が長いから, どうしても焦点深度が浅くなり, 焦点以外のところがボケる結果となる。そのうえ相変わらず照明が弱いから露出が長くなり, Cameron夫人は動くなと命令するが, 写される人間にしたら「地獄」である。

「Margaret Cameron, her Jamin lens and Collodion」への4件のフィードバック

  1. ありがとうございます。Orthoscopeを入手してテストしてみたいと思います。以前Orthoskopを買ったことがあるのですが、中玉のない不良品で返品しました。まともなOrthoskopを探したいと思います。

  2. 今日、Harkerの著書(全64頁)が届きました。
    二台のカメラとレンズに関する内容は、EmersonがDallmeyerに調査を依頼した報告書からの引用でした。
    同時に、国内の古書店から取り寄せたGernsheimの著書「Julia Margaret Cameron」のTechniqueの項69頁-76頁には、Jaminのレンズの収差についてOrthoscopeを引き合いに出したということで、Cameronが使っていたレンズは、Jaminのレンズではなく、Orthoscopeであるということではないようです。
    Harkerの著書のTechnical noteの項60頁-61頁には、撮影室、小道具、照明、カメラとレンズ、暗室、陰画製造、印画製造、修整の小項目に分けて解説されています。

  3. この文献、楽しみですね。面白い記事があったら教えて下さい。中崎昌雄氏の文献の中のThomas Dallmeyerのコメント、楽しませて頂きました。たぶんキャメロンの写真が不鮮明なのははカメラブレのせいだと思います。

  4. 昨年Cameronの住居を現地調査した報告書*1によると、最初のレンズはJaminであるということで、Dallmeyerの調査に言及していませんでした。
    疑問に思ったので、二台のカメラとレンズの文献*2を取り寄せています。
    *1 若林真理子「ジュリア・マーガレット・キャメロンの写真作品による身体表象についての基礎研究」学生海外派遣プログラム お茶の水女子大学 (2014)
    *2 Harker, Margaret F. , Julia Margaret Cameron (1982)

コメントは停止中です。